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Hiroyuki Watanabe 2014 S/S collection “港町の少女” look book

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design:hiroyuki watanabe

model:yukina ono

photo:suguru tanaka

 

港町にある帽子屋。

職人である老人と見習いの少女が営んでいる。

職人暦40年の老人は、よくいる頑固気質な職人と違い、人当たりも良く、町の人々からも気に入られている。

帽子自体の評判も良いが、それ以上に老人本人の人間性も良い。

帽子屋の見習いである少女は、幼少期の記憶が無い。

 

3年前のある朝、突然海沿いの浜辺に漂流しているのを港町に住み着いているホームレスに助けられた。

助けられてから3日後の朝、窓から海の見える病院のベッドの上で少女は目覚めた。

何故ベッドの上で横になっているのか理由がまったく分からなかった少女は、ベッドから降り、裸足のままどこかに向おうとした。

そこに髪の長いどことなく無愛想な男性が病室に入ってきた。

その男性が「大丈夫だからまだ寝てろ。誰か呼んできてやるから。」少女にそう伝えると、男性はどこかに消えてしまった。

しばらく病室で待っていると、一人の看護士がやってきた。

「目を覚まされたんですね!三日間も眠られてたんですよ。本当に良かったです。」

少女は自分は何故この場所にいるのかを看護士に尋ねた。

そして、浜辺に漂流したところをホームレスの男性に助けて貰い、町外れにある病院に運ばれた事を知る。

少女はその男性はどこにいるのかも続けて尋ねた。

「アレ?さっきまで病院にいらっしゃっていたのに、貴方が目を覚ました事を私に伝えてくれたのもその方だったんですよ。」

先程の髪の長い,どことなく無愛想な男性が少女を助けてくれた事を知る。

それから二日後、少女は病院から姿を消した。

 

ある秋の夜、帽子屋の老人は仕事を終え、飼い犬の笑(エミ)の散歩に海沿いへと出掛けた。

その日もいつもと同じ散歩コースだった。

老人が何気なく浜辺の方に目を向けると、海の方を睨むように見つめている少女が立っていた。

その少女の事が気になった老人は、少女の方に向かってみた。

 

「どうしたんだい?」

老人が少女に尋ねた。

 

「分からないんです」

少女は深く深呼吸した後、その一言だけを発し、どこかへ走って行ってしまった。

老人は少女の事が気になったが、エミにせかされたのでいつもの散歩コースへと戻った。

老人は翌日もその次の日もエミとの散歩途中、またあの少女が浜辺に居るのではないかと思っていたが、少女の姿を再び見る事は無かった。

 

老人が少女と浜辺で出会ったから一週間が過ぎたある日、帽子屋の店先で店内を覗いている人が居た。

老人がそちらに目を向けると、そこに居た人はあの日浜辺で出会った少女だった。

 

 

「帽子が好きなら店の中にもたくさんあるから中においで。」

老人がそう言うと、少女は目を輝かせながら店内に入ってきた。

 

楽しそうに少女は言った。

「これ帽子?っていう名前なんですか?私これ好き!」

 

帽子の事を知らないなんて珍しい子だなと思いながら、老人は少女が見ていた帽子を手に取り、少女の頭に被せた。

帽子を被せて貰った少女は鏡に映る自分を見ながら、さらに目を輝かせた。

 

「その帽子がそんな気にいったなら、持っていきなさい。」

老人はそんな少女を見ていると、ついついそんな気持ちになってしまった。

 

「大丈夫です。ありがとうございました。」

そう言うと少女は逃げるように店から出ていってしまった。

 

翌日、また店先にあの少女が来ていた。

老人は昨日の出来事もあったので、また少女が来てる事に少し驚いたと同時に嬉しかった。

 

「どうぞ。」

老人がそう言うと、また少女は目を輝かせながら店内に入ってきた。

 

「おじいさん、私、この帽子さんがほしいです。でも貰うのはダメです。買うお金もありません。」

少女は、突然そんな事を言い出し、さらに続けた。

「昨日、あの後もずっと帽子さんの事が気になって、今日も気づいたらまた店先に来てしまいました。」

 

「じゃ教えてあげるから、自分で帽子作ってみるかい?」

おじいさんはそう言わずにはいれなかった。

 

少女は嬉しそうに首を縦に振り、「うん!うん!」っと二回言った。

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